これまでのホワイトニングの現状


上図のように昔から歯を白くしたい!と願う方は多く、様々な工夫と失敗が繰り返されてきていました。特に、ホワイトニング剤は10度加熱すると反応が2倍になる原理を活かし、写真撮影用のライトや車のライトなどを用いてひたすら強い光を浴びせようというパワーホワイトニングという治療が1980年代まで続いていたのです。


しかし、あまりの過熱(当時は70度くらいまで容認されていたのです)により実際には歯の神経が死ぬという事例をたくさん生んでしまい、ホワイトニングの反面教師と目されるようになっています。今では、こんな野蛮なホワイトニングは施術されていません。

1989年に米国でV・ヘイウッド教授がカスタムトレーを用いたホームホワイトニングという手法を発明し、マイルドな治療法と家庭でできるポイントが評価され、治療効果もそれほど低くなかったので、全世界に瞬く間に広がっていきました。日本でも、2001年にNITEホワイトエクセル(ディスカスデンタル社:代理店アストラ)の発売によってホームホワイトニングは、日本の歯科医院の約4割で施術されるまでになっています。

ただホームホワイトニング剤は日本のメーカーがホワイトニングを目的にして厚生労働省に承認をとっていないため、表示は歯面清掃補助剤というなんだか訳がわからない区分になって流通しています。つまり、日本の厳しすぎる法律をする抜けるためにメーカーがより基準の低い名目で強引に通したということなのでしょう。この影響で、薬剤のパッケージに記載されている使用法の誤表記によって国民の混乱は広がっています。


(上図は米国製品の使用法をそのまま記載したものです。直輸入した同じ製品を違う使用法で捻じ曲げる方が問題なので、後から修正した日本製品に記入されている使用法は無視してかまわないのです)

 NITEホワイトエクセル以降発売されたホームホワイトニング剤は、シェードアップ(松風)オパールエッセンス(ウルトラデント)、ティオン(ジーシー)も同じ施術方法が指定されていますが、これらは米国本国製品の直輸入だったので、日本に輸入されるに当たって使用方法がまるで別の用途の製品のように書き換えられていることを患者の皆様方はご理解ください。つまり 日本で販売されているものは実質ホワイトニング本物 添付書類は法律をすり抜けるためのニセモノという解釈がより近いかもしれません。これらの問題が時折、2ちゃんねるやヤフー知恵袋などで繰り返し患者様から疑問やクレームを頂いていることなので、日本歯科医師会や日本歯学医学会などで修正圧力を厚生労働省にかけるべきだと思います。

 オフィスホワイトニングに関しては、過酸化水素を分解することによって歯は白くなると思われていました。20世紀末に販売された製品では、光照射をすれば酸化作用が始まるとメーカーは謳っていましたが、反応は著しく鈍く治療効果はなかなか上がりませんでした。現在の視点では、照射していた光の波長域がズレていたために効率的でないことをやっていたことがわかります。問題なのは最新機種と思われているはずのシステムでも、理論上は20世紀製品と同じでピント外れのものも市場に出回っていることなのです。(TOPページグラフ)

 かと思えば、オフィスホワイトニングにおける光照射についてCRAリポートでは、「診療の場を華やかにするインテリアに過ぎない」あるいはREALITY(米国で歯科製品評価機構)主宰 Michael B. Millerに「ZOOM!™における光の作用は効果がない」とまで言われた時期もありました。結論から言うと、これらは全く根拠無い偏見に満ちた言い方に過ぎません。サイエンスの原理を検証しないまま発言するという短絡的な声でした。しかし、彼らがそう思ってしまったことには、彼らなりの根拠があったのです。これらのホワイトニング薬剤は光を照射しなくても、非常に酸化力が強かったことで歯は白くなってしまったのです。この反応が、従来のホワイトニングと段違いだったことがそう言わしめた皮肉な結果を招いたようです。

 ホワイトニング本国の米国でさえ、このように真実とかけ離れた指摘がでるわけなので、やはりホワイトニングという学問は誤解と偏見からなかなか逃れられないでいました。

 そこで私はホワイトニングに初めてサイエンスを導入し臨床を解明したのです。これで、トータルホワイトニングはホームホワイトニングを超えて、最も価値あるホワイトニング治療法という位置づけがされたと自負します。